固定費を一度削減できると、これから先の家計が非常に楽になります。固定費は「毎月同じ金額が変わらずに出ていくもの」なので、一度そのボリュームを小さくできれば、この先ずっと変わらないからです。固定費の中身によっては、月に3万円の節約も夢ではありません。

これだけ食費とか抑えてるのに、何で貯金が1円すらできないの?
このままだと節約のストレスで気がおかしくなりそう・・・
そういうご家庭は、ぜひ一度家計の中の「固定費」をチェックしてみることをおすすめします。
節約と聞くと食費を抑えたり外食を控えたりといった「変動費」に目を向けがちですが、変動費はスキルが必要だったり、日々の努力の割に削減できる見返りが少ないなど、デメリットが多めです。
固定費は反対に、ほんのちょっとの知識と見直しで1ヶ月に数千円~数万円の削減につながります。そしてその効果は「固定」なので、これから先ずっと続きます。
▼この記事でわかること▼
- 固定費を見直せば月に3万円節約は十分可能!
- 固定費は「住居費」「保険」「通信費」に注目
- 固定費の節約のやり方
固定費とは?
家庭での出費は「固定費」と「変動費」に分けることができます。
今回のお話のテーマである「固定費」とは、毎月変わらない金額が出ていく出費のことです。
【主な固定費】
|
対する「変動費」とは、食費や日用品代、被服費など、毎月出費の額がコロコロと変動するものです。
固定費節約のイメージ
ではなぜ、固定費の見直しが家計の大きな節約につながるのでしょうか?下の図を見て下さい。下の青い部分が「固定費」、そしてその上に乗っている赤い部分が「変動費」です。変動費は毎月の額が変わるので、形がギザギザになっています。
固定費は家計の出費の根幹を支えています。携帯電話の料金に例えると、固定費が基本料金で、変動費が通話・通信量にあたります。
上の図のように固定費を削減できると、全体の出費が下がります。そして一度下がった固定費はずっと低い水準のまま平行移動するのが特徴です。
携帯電話の料金を安く抑えようと思ったときに、電話をかける量を減らすというのもひとつの手ですが、それで1ヶ月に何千円も下がることはありませんよね?ところが基本料金を見直せば、千円以上下がることはザラです。
家計も同じで、基本料金にあたる固定費を見直すことで、「半永久的に」節約効果が期待できます。
固定費を把握することから節約は始まる
固定費の節約効果がわかっていただいたところで、皆さんは毎月の固定費がいくらかかっているかをご存知でしょうか?
固定費の節約は、まず固定費の中身を把握することから始まります。
家賃や光熱費、駐車場代や保険など、ありとあらゆる固定費を一度リストアップしてみて下さい。細かいようですが、スマホの有料アプリや定期購読雑誌なども固定費として計上しましょう。月に数百円でも、「塵も積もれば山となる」です。
すべてのリストアップを完了してみると、「固定費だけでこれだけかかっているの?!」と驚く方も出てくるかもしれません。
固定費を削減はまずこの3つから!
固定費のリストアップが終わったら、今度はそれぞれの固定費に対して「テコ入れ」を行なっていきます。
冒頭で挙げたとおり固定費には数多くの費目があり「これらすべてを見直すの?」と、面倒臭く感じる方もいるかもしれません。
固定費の中でも「節約効果が高いもの」と「節約効果が低いもの」があります。固定費を見直す際、まず優先的に「節約効果が高いもの」をつぶしていきます。
固定費で優先的に見直すべきは、「住居費」「保険」「通信費」の3つです。
住居費を見直す
住居費は固定費の中でももっとも比重が大きいかわりに、見直すことで大きな節約効果が期待できます。
賃貸の場合
賃貸住まいの場合、もう少し家賃の低い所に引っ越せば住居費は下がります。また現在住んでいる場所が周辺の賃貸事情と比べて割高と感じるなら、大家さんや管理会社に交渉することで家賃が下がる場合もあります。
自己所有の場合
現在住宅ローンを支払っているケースの場合、ローンの金利に注目してみましょう。最近の借りたばかりの人には効果がないかもしれませんが、長い間ひとつの金融機関で借り続けている人は要注意。最近は住宅ローンの金利は低金利なので、かなり損をしている場合があります。
現在の住宅ローンを低金利のローンに借り換えをすることで利息が減り、月々の返済額も変わります。金融機関の窓口で相談すると、ローン返済のシミュレーションをしてくれるので活用しましょう。ただし借り換え時に数十万~100万円ほどの諸費用が発生したり、借り換える際にも審査があるというデメリットも存在します。
そのほかにも「住宅ローンの繰り上げ返済」をすることで、将来支払う予定だった利息を減らせます。まとまったお金が一度に出ていくので抵抗感はありますが、利息が減る分かなりの節約効果が期待できます。ある程度の貯蓄ができたら繰り上げ返済も視野に入れましょう。
保険を見直す
毎月支払う保険料も固定費に占める割合が大きく、見直すことで大きな節約効果が期待できます。
医療保険
将来起こるかもしれないあらゆる不安から、「あれも必要かも」「そういえばこれも・・・」と、気が付けば数万円の医療保険料を毎月支払っているという方もいるかもしれませんね。
毎月「社会保険」や「国民健康保険」といった「公的な保険」を支払っていると思いますが、実はこれらにも私たちは手厚く守られています。
例えばある病気で手術・入院をして100万円がかかったケースです。(保険内診療)
まず、医療費の自己負担額は3割(6歳~69歳の場合)ですから、
です。それでも30万円の自己負担額というのは大きいですね。この時点では、民間の医療保険に入っていれば安心、となりそうです。
ところが「高額療養費制度」という制度を利用すると、さらに自己負担額は減ります。これは年齢や収入によって毎月の医療費の上限額が決まっていて、上限を超えた分に関してはお金が返ってくるという嬉しい制度です。なぜかあまり知られていない制度でもあります。
例えば年収が約370~770万円の場合、計算すると医療費の月額上限は
となり、実質の負担額は87,430円になります。
上限を超過した300,000円-87,430円 = 212,570円は事後に還付されます。
100万円の入院・手術だったのに、結局9万円も支払っていないんです。
たったこの9万円弱のために、毎月高い医療保険を支払っているんです。僕は個人的な意見として「無駄」だと思っています。
もちろん、自営業者の方で働けなくなったときの生活保障や、個室希望による「差額ベッド代」などが必要になるケースもあるので、必要な保障内容は人それぞれです。
ところが健康保険という「公的な保険」でもかなり手厚い保障を受けているということを知っておくと、追加で入っている民間の医療保険に「過剰や重複」が出てくる可能性が生まれます。
民間の医療保険は、あくまでも「公的保険で足りないものを追加する」というイメージを持つと、保険料を上手に削減することができます。
生命保険
生命保険は、被保険者が亡くなったときに保障されるものです。
生命保険の目的は、被保険者が亡くなった後「残された家族のための備え」なので、時間の経過やライフスタイルの変化とともに変わっていくべきものです。
被保険者が亡くなったあと、残された家族に心配なのが、次の4つですね。
- 住居費
- 生活費
- 教育費
- 葬式費用・お墓
生命保険は、基本的に上の4つの心配事がカバーされているかを確認します。反対に、カバーしなくてもいいものがあれば、備える必要もありません。
たとえば、子供がとっくに成人して就職もしているのに、教育費のための高い死亡保障金は必要ありませんよね?
また死亡者名義の住宅ローンも「団信(団体信用保険)」に加入していれば0(ゼロ)になるので、住居費は必要なくなります。
死亡保障金は低ければ低いほど掛け金も下がります。若い頃にかけた生命保険がそのままになっているという方は、特に一度チェックをしてみることをおすすめします。
国民年金保険料の前払い
毎月16,540円(令和3年より16,610円)の国民年金を納めている方は、1年分や2年分を一括で「前払い」しておくことで、保険料が安くなります。
例えば令和2年分と3年分の2年間の保険料をまとめて納めた場合、割引額は14,590円と、ほぼ1ヶ月分に匹敵する額の割引を受けられます。
通信費を見直す
スマホやインターネットといった通信費も、見直すことで数千円の固定費が節約できる可能性があります。
たとえば現在、スマホを大手の携帯会社と契約している場合、格安スマホに切り替えることにより出費を数千円下げることが可能です。格安スマホは大手携帯会社の通信網を「借りて」運営しているので、設備投資費用がかかっていない分、安値を実現しています。
また、スマホのプラン内容ももう一度見直してみましょう。連絡はSNSやメール中心で電話はほとんどしないのに「(電話)かけ放題」のプランは必要ありません。すぐに外せます。
インターネットもスマホ会社とセットで加入すると基本料が安くなるパターンもあるので、積極的に活用しましょう。
こんな固定費も節約できるはず
その他のこんな固定費も、節約できる可能性があります。
光熱費
この場合「電気をこまめに消す」とか「水道を無駄遣いしない」という変動費的な考え方ではなく、電力やガスの契約会社を見直して料金を下げるということです。
2016年に施行された「電力自由化」のおかげで、私たち消費者側から電力・ガス会社を「選ぶ」ことができるようになりました。たとえば電気とガスを同じ会社で契約することも可能になり、光熱費を下げるもっとも効率的な方法のひとつとなっています。
わが家も電力とガスをガス会社に一本化して、光熱費を下げることに成功しました。
毎月の「有料課金」
スマホの有料チャンネルや有料アプリ、見てもいないのに契約している有料の衛星放送チャンネルなど、毎月発生している「有料課金」はチェックしましょう。ひとつ当たりの単価は数百円からと小さいですが、数が集まると数千円になることも。
特にスマホを契約したときに登録した「有料課金もの」が、解約せずにそのままになっているケースもあります。
まとめ
このように、毎月何となく出ていく固定費も、中身を見直すことで節約が可能です。
- 住居費
- 保険
- 通信費
これらだけでも、月2万の節約は十分射程圏内です。さらに有料課金や光熱費といった細かい部分も、テコ入れすることでさらに1万円くらいは節約できる可能性があります。これで合計3万円です。どうです?何だかできそうな気がしませんか?
食費や被服費などの変動費は、最初に触れたように「努力の割に即効性がない」というデメリットがあり、ましてや初心者にはかなりハードルが高いです。外食や好きなことを減らしても、ストレスがたまって生活も楽しくありません。
反対に固定費なら、ちょっとパワーは使いますが、一度見直してしまえば家計は順調に回っていくようになります。
コメント